今一樹(こんかずき)さん/青森県弘前市出身。弘前市内の大学を卒業後、地元企業への就職を経て、千葉県に転居。2017年に東京都内の歯科技工物メーカーに就職。2022年に青森県へUターンし、青森市の医療機器総合商社に転職。
大学生まで実家の弘前市で過ごした今さん。地元で就職しましたが「一度は実家を出てみたい」と思いが募り弘前市を離れます。30歳ぐらいで弘前に戻る気持ちでいましたが、東京で定職に就き日々過ごすうちに、このまま帰らない道もあるのかも...と悩みます。そんな今さんにUターンを後押ししてくれたのは、青森県の移住相談窓口である「青森暮らしサポートセンター」(通称"あおぐら")でした。
一人暮らしをしてみたい
青森県西部に位置し、さくらまつりやねぷたまつりが有名な弘前市で生まれ育った今さん。大学まで弘前市内で過ごし、特に不満のない生活をしていましたが「一度は実家を出てみたい」と思うようになりました。
とはいえ弘前市内で就職してしまったため、家を出るきっかけがつかめずにいました。そんな中、一人暮らしせざるを得ない状況に自分を追い込むため、友達も多い首都圏に行くことを決意します。
「両親はりんご農家で常に人手が足りないため、とりあえずりんごの収穫を手伝いに帰って来てくれるなら、いつでも行っていいよ、という感じでした。」
親の反対もなく、勢いではじまった今さんの一人暮らしですが、実家から離れる時から「区切りがついたら、いつかは弘前に帰りたい」と思っていたと言います。
引越したての頃は、短期雇用の仕事をしていましたが、26歳の時に都内の歯科技工物メーカーに就職。一人暮らしに慣れ、仕事面でも安定します。
「30歳になったぐらいで、Uターンについて真剣に悩み出しました。仕事も安定していたので、Uターンしなくてもいいかもしれないという気持ちも少しはありました。」
苦戦した転職活動に寄り添ってくれた"あおぐら"
Uターンか首都圏に残るかで、気持ちが揺れる中、今さんは週末などに東京で開催される移住イベントに参加するなどして、自分の気持ちを確認しました。
そして、東京・有楽町にある「青森暮らしサポートセンター」(通称"あおぐら")も活用。
"あおぐら"は、青森県の移住相談窓口で、移住相談員と就職相談員が常駐し、10〜18時まで営業しています(月曜・祝日、夏季休暇と年末年始はお休み)。
今さんが主に相談したのは、就職先について。
「Uターンしたいけど、仕事がない」というのは本当なのか? 給与面はどうなのか?ざっくばらんに相談しているうちに、青森に帰ることを決意することができたそう。
しかし、就職面接で苦戦します。オンラインで面接をしてくれる会社もありましたが、現地に行く必要がある面接もあり、仕事をしながらの日程の工面には苦労したそう。
「"あおぐら"の就職相談の方にはお世話になりました。求人の紹介をしてもらったり、いろいろと相談に乗ってもらいました。移住について一人で抱えているなら、"あおぐら"を活用しない手はないです。」
そして、青森市の医療機器総合商社に見事転職を果たしました。実家のある弘前市にも支店を持つ会社だったこともあり、将来的に弘前市で働くことも視野に入れて決めたそう。
医療業界で専門的知識が必要となるため、まだまだ勉強中ということですが、やりがいを持って仕事に取り組めているそうです。
8年ぶりの弘前ねぷたに感動
今さんはUターンしたものの、雪国生活は8年ぶり、しかも雪国では初めての一人暮らし。弘前市より雪の多い青森市の暮らしでは、何度か雪国の洗礼を受けたそう。
「年末年始を弘前で過ごして青森に帰ってきたら、車が文字通り雪に埋もれていて驚きました。車を発掘する感覚で雪かきしましたね。」
寒波が襲った年には、アパートの水道管が凍結。水道管が3日後に溶けて直るまで、銭湯などを利用して乗り切り、雪国ライフハックも向上したそう。
「都内で就職する際は考えていませんでしたが、お盆休みが弘前ねぷたまつりの日程と合わないため、8年間祭りを見ることができなかった」と今さん。Uターン後、久しぶりに見た弘前ねぷたまつりは、感無量だったそう。
「一度青森を離れてわかりましたが、自分にとって故郷は癒しです。Uターンを悩んでいる人は、今できないと完全に諦めてしまうのではなく、長い目で見て決めてほしいですね。」
趣味の幅を広げたい
今さんの仕事以外での最近の目標は「趣味の幅を広げること」。
目下、長年やりたかった釣りを満喫しています。鰺ケ沢で朝釣りをして、お昼にはヒラメのヅケ丼を頬張ったり、夜釣りに蟹田に出かけ、青森までの帰路の間でポイントをかえながら釣り糸をたらしたり。
「首都圏では電車移動が中心で車がなかったので、釣りはなかなかできませんでした。今は自由に動けるので、楽しいですね。マグロも釣ってみたいですし、今釣りに行きたい場所は、小泊です」と今さん。スキーにも改めて挑戦したい、など趣味の計画が広がっている様子。Uターンして、まさにウェルビーイングな生活を送っているようです。